
投信の実績利回りと、募集ページの想定年利回りは別の数字
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この記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品やサービスへの投資を推奨・勧誘するものではありません。記載した数値や表記は執筆時点(2026年8月27日)に各公式サイトで公表されていた内容にもとづきます。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
投信の運用報告書に並ぶ%と、ファンドの募集ページに出てくる「想定年利回り」。同じパーセントでも、前者はすでに起きた結果で、後者はこれから目指す予定です。測っているものが違うので、大小をそのまま並べても比較になりません。この記事では、それぞれの%が何を測った数字かと、脚注をどこで読むかを整理します。
実績利回りと想定年利回りは、そもそも何が違う?
違いは時制です。実績利回りは終わった期間に起きた結果で、想定年利回りはこれから目指す水準を先に示した数字。片方は確定していて、もう片方は確定していません。
つみたてを何年か続けていると、%という表記にはすっかり慣れます。でも、慣れるのは表記であって、中身ではありません。私も、つみたてを始めて1年目のころは、目にした%をぜんぶ同じ棚に並べて眺めていました。
ここでつまずくと、その後の判断がまるごと傾きます。たとえば手元のインデックスファンドの過去5年の数字と、どこかの募集ページに出ている想定年利回りを並べて、「こっちのほうが大きい」と受け取る。数字だけを見ればそう見えます。けれど、一方はもう起きたこと、もう一方はまだ起きていないことです。
比べる前に確かめたいのは、次の3つでした。何を測ったのか。いつの数字なのか。誰が、どういう前提で出したのか。この3つがそろわないうちは、%同士を横に並べない。それだけで、ずいぶん落ち着いて読めるようになります。
投信の「%」は、どこに、どう書かれている?
投資信託の実績は、交付目論見書の「運用実績」と、決算ごとに作られる交付運用報告書に載っています。どちらも、すでに終わった期間に何が起きたかを記録した書類です。
交付目論見書の運用実績の欄に載っているのは、基準価額や純資産総額の推移、分配金の推移、年間収益率の推移等。ここから投資信託の過去の運用実績を確認できると、一般社団法人 資産運用業協会(旧・投資信託協会)は説明しています。そして、そのすぐあとに短い但し書きが添えられていました。新設のファンドには実績はありません、と。
この一行は地味ですが、効きます。実績という言葉は、時間が経った商品にしか使えないのです。
運用報告書のほうは、もう少し細かく決まっています。同協会の説明によると、購入後の投資信託がどのように運用され、その結果どうなったかは、決算期ごとに作成・送付される運用報告書で知ることができます。2014年12月以降に決算を迎えた投資信託からは、重要な項目をまとめた交付運用報告書と、運用報告書(全体版)の2種類に分かれました。手元に届くのは前者です。
交付運用報告書の中身は、決まった順序で並んでいます。基準価額などの推移。1万口当たりの費用明細。最近5年間の基準価額などの推移。代表的な資産クラスとの騰落率の比較。計算期間が6ヶ月未満のファンドでも、6ヶ月に1度は作成・交付することが法令で定められていました。
募集ページの「想定年利回り」は、何を指している?
これから組成するファンドで目指す水準です。実際に出た数字でも、約束された数字でもありません。募集する側がそう書いている、というのが正確な受け取り方になります。
実際の文面を見るのが早いでしょう。事業投資型プラットフォームのミラリタは、トップページに銀行預金金利との比較図を置いていました。その下に並ぶ脚注は3つ。想定年利回りの正体を説明しているのが、2つめです。
※2 弊社が組成を検討するファンドの想定年利回りのレンジになります。実際の利回りと相違する場合がございます。
ミラリタ公式サイト トップページ(2026年8月27日確認)
組成を検討する、という言い方に注目してください。すでに走っているファンドの成績ではなく、これから作ろうとしているファンドの見込みだと書いてあります。そして、実際の利回りと相違する場合がある、とも。
3つめの脚注は、さらに手前の前提に触れています。
※3 弊社ファンドは、将来の元本及び分配金を保証するものではございません
ミラリタ公式サイト トップページ(2026年8月27日確認)
本文のほうにも同じ番号が振られていました。銀行に預けたお金は、ほとんど利息がつかない状態が続いています。弊社ファンドでは、集めた資金を事業に投資し、そこから得られる利益を分配することで、預金より高い利回りを目指しています(※3)。この「目指しています」に、※3がぶら下がっている形です。
つまり、募集ページの%は目標値です。目標値そのものが悪いわけではありません。ただ、投信の運用報告書に載っている数字と同じ棚には置けない、という話です。
二つの%を、同じ物差しで並べてみる
並べるときは、%の数値ではなく、その%の性質を並べます。何を測ったのか、確定しているか、どこに書いてあるか。この3点に保証の有無と但し書きを足した5点で、比較の土台がそろいました。
| 確かめる点 | 投信の実績(過去) | 募集ページの想定年利回り(予定) |
|---|---|---|
| 何を測った数字か | すでに終わった期間の運用結果 | これから組成を検討するファンドで目指す水準 |
| 確定しているか | 確定した過去の記録 | 確定していない見込み |
| どこに書いてあるか | 交付目論見書の「運用実績」/交付運用報告書 | 募集ページやトップページの図表(脚注つき) |
| 保証の有無 | 投資信託は運用の結果として損失の出る商品 | 将来の元本及び分配金を保証するものではない(※3) |
| 読むべき但し書き | 新設のファンドには実績はありません | 実際の利回りと相違する場合がございます(※2) |
表の下2行が要です。どちらの列にも、数字の隣に打ち消しが置かれています。数字だけを抜き出して覚えると、この行がまるごと抜け落ちてしまう。
なお、ここに挙げた脚注は、公式サイトのトップページで実際に読めます。
脚注は、どこで読む?
図やグラフと同じブロックの中、※印の小さな文字です。比較の前提も打ち消しも、そこにまとめて置かれています。大きな文字ほど覚えやすく、小さな文字ほど条件が濃い。先に探すのは小さいほうです。
ミラリタのトップページで探してみます。上から順に、アンバサダー(菊川怜さん)とキャッチコピー。次にピックアップファンド、ファンド一覧、「ミラリタとは?」。そのあとがメリットの章です。ここに「銀行預金との比較」の見出しと本文があり、同じブロックの中に※1から※3までの小さな行と、利率比較の図が収まっていました。画面の幅によって図と脚注の並びは変わります。だから位置で覚えず、図とセットで探すほうが確実です。
1つめの脚注は、比較の相手を定義していました。
※1 2026年2月現在 メガバンク3行の定期預金(1年)での金利の平均
ミラリタ公式サイト トップページ(2026年8月27日確認)
いつの、どこの、どういう商品の金利なのか。3行の平均で、期間は1年で、時点は2026年2月。ここまで書いてあれば、比較の土台は確かめられます。逆にいうと、この一行を読み飛ばすと、何と比べた%なのかが分からないまま数字だけが残ります。
書面のレイヤーも見ておきましょう。投資信託には交付目論見書があり、資産運用業協会の説明では、購入する前に必ず投資家に渡されます。中身は4つ。ファンドの目的・特色、投資のリスク、運用実績、手続・手数料等です。記載項目も順序も統一されているので、複数のファンドを同じ形で見比べられました。一方、ファンドの募集ページは商品ごとの作りで、細かい条件は個別のファンドのページと、そこで案内される書類の側にあります。
ミラリタの場合、フッターのドキュメント欄に書類が8点並びます。数字と条件に直接かかわるのは、そのうち3点。「手数料・リスク等に関する事項」「勧誘方針」「申込みの撤回又は契約の解除について」です。会社の登録は第二種金融商品取引業:関東財務局長(金商)第3147号、加入先は一般社団法人 第二種金融商品取引業協会と記載されていました。この手の情報も、脚注と同じ小さな文字の側にあります(出典:ミラリタ公式サイト/2026年8月27日確認)。
費用の条件も、よくある質問の側にありました。
登録時は無料です。口座の開設・維持・管理にかかる費用も無料です。分配・償還金のお支払い時にはファンド資産から費用として営業者(取扱者)報酬が差し引かれます。なお、分配金・償還金のお支払いに係る振込手数料は無料です。
ミラリタ公式サイト よくあるご質問(2026年8月27日確認)
無料という言葉が3回、差し引かれるという言葉が1回。この1回を見つける作業が、脚注を読むということです。会員登録の対象が満18歳以上80歳未満という線引きも、同じ欄にありました。条件はどれも短い文で、目立たない場所に置かれています。
もうひとつ、%からは読み取れない条件があります。出したお金を、運用の途中で自分の都合で引き上げられるかどうか。投資信託には換金の種類と手続きが用意されていますが、ファンドへの出資が同じとは限りません。中途解約ができるかどうかも、運用期間中の資金の扱いも、ファンドごとに違います。だから、さきほどの「申込みの撤回又は契約の解除について」と、申し込む個別ファンドの書面で確認してください。想定年利回りが何%かより先に、ここを見ておくほうが順番として自然です。
数字の前に、商品の性格を見る順番も整えておく
%の読み方が整うと、次に気になるのは「そもそもこの商品は何をする道具か」という点です。投資信託を選ぶときの見どころを先に押さえておくと、他の選択肢を見るときの物差しがそろいます。
「分散」も、同じ言葉で別のものを指す
投資信託の分散は、集めた資金をさまざまな資産に分けることを指します。事業投資型のファンドでは、集めたお金が特定の事業へ渡る形。言葉は同じでも、行き先の広さが違うわけです。
資産運用業協会は、投資の基本を分散投資と説明しています。資産をいくつかの商品に分けて、リスクを分散させる考え方です。投資信託は小口のお金を集めてひとつの大きな資金として運用するので、さまざまな資産に分散投資できる仕組みだとされていました。つみたてを続けてきた方が「分散」と聞いて思い浮かべるのは、たいていこちらでしょう。
一方、ミラリタの本文にはこう書かれていました。集めた資金を事業に投資し、そこから得られる利益を分配する。行き先は、その事業です。1本のファンドの中で投資先がどこまで分かれるのかは、この一文だけでは決まりません。個別のファンドページで、資金の使いみちを確かめることになります。
ここは優劣の話ではなく、性質の話です。値動きの理由が、市場全体ではなく個別の事業の成否に寄っている。だとしたら、確かめる対象も変わります。市場の平均ではなく、その事業と、それを扱う会社を見ることになります。
数字を読む順番を、つみたての続きに置く
%を見る前に、その%の出どころを見る。順番をこう決めておくと、新しい選択肢に出会っても慌てずに済みます。つみたてで身につけた読み方が、そのまま使えるはず。
おさらいします。投信の実績利回りは、終わった期間の記録です。募集ページの想定年利回りは、これから目指す予定です。前者は交付目論見書と交付運用報告書に、後者は募集ページと脚注に書かれています。数字が大きいか小さいかは、その後の話です。
だから今は、%を見つけたら先に「これはいつからいつまでの数字だろう」と探します。探して見つからないときは、たいてい脚注のほうに書いてあります。そこまで読んでから、はじめて自分の口座の数字の隣に置いてみる。この順番にしてから、判断で焦ることが減りました。
次の一歩をどう置くかは、人によって違っていいはずです。ただ、どの一歩を選ぶにしても、数字の出どころを見る癖はついてまわります。ここだけは先に整えておくと、後がずっと楽になりますよ。
よくある質問
「資産運用」と「投資」の線引きから、もう一度たどる
%の読み方でつまずくときは、たいてい言葉の定義が混ざっています。資産運用と投資の違いを整理した記事から読み直すと、数字の置き場所が見つけやすくなります。
本記事は資産運用に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の商品やサービスへの投資を推奨・勧誘するものではありません。投資信託は値動きのある商品で、購入後に基準価額が下がり元本を割り込むことがあります。ファンドへの出資も同様に元本が保証される商品ではなく、事業の状況によっては出資した資金が減ること、分配や償還が予定どおりに行われないことがあります。ファンドへの出資や投資信託は預金ではなく、預金保険による保護の対象となる預金等には含まれません。掲載した数値・文面は執筆時点(2026年8月27日)に各公式サイトで公表されていた内容にもとづいており、募集条件や制度は変更されることがあります。個別のファンドの条件・費用・リスクは、必ず提供会社の公式情報および交付される書面でご確認ください。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。本サイトはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を利用しています。