
投信とFXの税金の違い3つ|2026年8月版
この記事は情報提供を目的としたもので、特定の取引や商品を推奨するものではありません。税制の適用は個々の状況によって異なります。具体的な申告についてはお住まいの地域の税務署または税理士へご確認ください。
投資信託とFXの税金は、税率だけを見ればどちらも20.315%で同じです。違うのは、損益をぶつけられる相手・損失を繰り越す先・NISAという非課税の器が使えるかどうかの3点になります。税率が同じだから中身も同じ、とはなりません。つみたてを続けてきた方が為替の世界をのぞくとき、この3点を先に知っておくと後で慌てずに済みます。
投信とFXの税金は、そもそも何が違う?
違いは3点です。損益を合算できる相手、損失を繰り越したあとで差し引ける相手、そしてNISAの対象になるかどうか。税率と課税方式は同じなので、比べるべきはこの3点に絞られます。まず全体を表で並べます。
| 比べる項目 | 投資信託(特定口座・一般口座) | FX(店頭・取引所) |
|---|---|---|
| 課税方式 | 申告分離課税 | 申告分離課税 |
| 税率 | 20.315% | 20.315% |
| 所得の区分 | 上場株式等に係る譲渡所得等 | 先物取引に係る雑所得等 |
| 損益を合算できる相手 | 上場株式等の譲渡益・配当所得等 | 先物取引に係る雑所得等 |
| 損失の繰越 | 翌年以後3年間 | 翌年以後3年内 |
| NISAの対象 | 対象(つみたて投資枠・成長投資枠) | 対象外 |
表の真ん中の2行が要です。区分の名前が違うということは、財布が別だということ。ここを見落とすと、確定申告の場面で「あれ、引けない」と気づくことになります。
税率はどちらも20.315%で同じ?
同じです。国税庁のタックスアンサーによると、投資信託を含む上場株式等の譲渡益は20%(所得税15%・住民税5%)で課税され、FXも所得税15%・地方税5%で課税されます。ここに復興特別所得税が上乗せされ、合計が20.315%になります。
内訳を分解すると、15%+0.315%+5%です。真ん中の0.315%が復興特別所得税で、基準所得税額の2.1%として計算されます。この端数の正体を知らないまま「20.315%」という数字だけ覚えている方は、けっこう多い印象があります。
根拠はこちらです。国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」/国税庁「No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」。なお後者では、店頭デリバティブ取引と市場デリバティブ取引のいずれでも課税関係は同じだと説明されています。
投信の損とFXの損は、合算できる?
合算できません。投資信託の売却損は「上場株式等に係る譲渡所得等」、FXの損失は「先物取引に係る雑所得等」に区分され、それぞれ別の枠で計算します。税率が同じでも、損益をぶつける相手が違うのです。
正直に書くと、私も最初はここを取り違えていました。同じ20.315%なのだから同じ欄に足し引きするのだろう、と勝手に思い込んでいたのです。区分の名前を並べて読んで、ようやく別々の箱だと腑に落ちました。
合算できる相手も決まっています。投資信託の譲渡損は上場株式等の譲渡益や配当所得等と、FXの損失は同じ「先物取引に係る雑所得等」に区分される取引との間で通算します。
損失は翌年に繰り越せる?
どちらも繰り越せます。期間はともに3年です。国税庁No.1474によると、上場株式等の譲渡損失は翌年以後3年間、上場株式等の譲渡所得等および配当所得等から繰越控除します。FXも同様で、No.1521は翌年以後3年内の各年分の「先物取引に係る雑所得等」から控除すると説明しています。
ただし条件があります。繰り越すには、損失が出た年に確定申告をしておくこと。そして繰り越している間、取引がなかった年も含めて申告を続けること。ここが抜けると、権利が途切れます。
「今年は損だけだから申告しなくていい」。この判断が、翌年以降に効いてくる場面があります。詳しくは国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」をご確認ください。
NISAの中で損が出たら、どうなる?
税金では取り返せません。国税庁No.1535は、非課税口座で取得した上場株式等を売却して生じた損失は「ないものとみなされます」と説明しています。特定口座や一般口座の譲渡益・配当等との損益通算も、繰越控除もできません。
非課税という言葉は、利益が出たときだけ有利に働きます。裏を返せば、損が出たときには何も残らない。この非対称は、NISAを使い始めた時点で受け入れている条件です。
そしてNISAにFXは入りません。金融庁の説明によると、2024年から始まった制度の年間投資枠はつみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円、併用して年間360万円。非課税保有限度額は総額1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)で、非課税保有期間は無期限です。対象は上場株式や一定の投資信託で、FXはこの枠の外にあります。
出典:国税庁「No.1535 NISA制度」/金融庁「NISAを知る」
税率の話の前に、口座の違いを3分で押さえる
税金の扱いが分かれる根っこには、投資信託の口座とFXの口座が別物だという事実があります。どちらを先に開くかで迷っている方は、口座の性格を比べる記事から読むと順番が整います。
会社員は確定申告が必要になる?
人によって変わります。国税庁No.1900は、1か所から給与を受けていて全部が源泉徴収の対象となる人のうち、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超える人は申告が必要だとしています。FXの利益はこの「各種の所得」に入ります。
投資信託は事情が少し違います。特定口座(源泉徴収あり)を選んでいれば、売却のたびに税金が差し引かれるため、原則として申告は要りません。損失を繰り越したい年だけ、自分から申告するという使い分けになります。
注意したいのは、20万円の基準が所得税の話だという点です。住民税には同じ基準がありません。金額が小さくても手続きが必要な場合があるため、お住まいの自治体の案内をご確認ください。国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
税金は、学ぶ順番のどこに置く?
私は、取引を始める前だと考えています。損失を繰り越すために申告を続けるかどうかは、始める前に決めておいたほうが迷いません。
取引を始める前に確かめたい3つのこと
その前段として、確かめておきたいことを3つ挙げます。
- NISAの枠を使い切っているか:非課税の器が余っているうちは、課税される取引を急ぐ理由が薄くなります。
- 申告を続けられるか:損失の繰越は、3年間の申告を前提にした制度です。毎年の手続きも判断材料に入れてください。
- 損益通算の壁を理解したか:両方を持つなら、それぞれ独立した収支として眺めます。
3つとも「はい」と答えられなければ、まだ準備の途中です。
おさらい|税率は同じ、扱いは別
投資信託とFXの税率は、どちらも20.315%。課税方式もどちらも申告分離課税です。違うのは3点で、損益をぶつける相手、繰り越したあとで差し引く相手、そしてNISAの対象かどうか。区分の名前が「上場株式等に係る譲渡所得等」と「先物取引に係る雑所得等」に分かれている以上、財布は別々になります。
次に読むなら、投信とFXの仕組みそのものを比べた記事が近くにありますよ。
よくある質問
投信とFXの違いを、仕組みから確かめる
税金の扱いが分かれるのは、商品の設計そのものが違うからです。値動きの理由・コストのかかり方・リスクの種類を並べて見ると、税区分が別になっている意味がつながります。
この記事は税制・資産運用に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の取引や商品を推奨するものではありません。税制の適用は個々の状況や年度によって異なり、制度改正もあります。投資信託は値動きのある商品で、為替変動の影響などにより基準価額が下がり元本を割り込むことがあります。FXは為替相場の変動により損失が生じるおそれがあり、預けた証拠金を上回る損失が生じることもあります(いずれも元本が保証される商品ではありません)。掲載した数値は執筆時点(2026年8月)に国税庁・金融庁の公式サイトで公表されていた内容にもとづいており、最新の情報は各公式サイトで必ずご確認ください。具体的な申告手続きについては、お住まいの地域の税務署または税理士へご相談ください。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。本サイトはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を利用しています。