
FX会社が倒れたら預けたお金は?信託保全率103.39%を自分で確かめる
この記事は情報提供を目的としたもので、特定の取引や会社を推奨するものではありません。FXは元本が保証された取引ではなく、預けた証拠金を上回る損失が生じることがあります。
FX会社が破綻したとき、預けた証拠金は信託銀行等に分けて預けられているので、その分は会社の財産と混ざらずに守られる仕組みになっています。業界全体でどれだけ預けられているかは、金融先物取引業協会が毎月Excelで出していて、2026年8月末の信託保全率は103.39%でした。
投資信託のつみたてに慣れた方から、次にFXを調べ始めたところで「会社がつぶれたら、預けたお金ごと消えるのでは」という心配を聞くことがあります。私も投信を始めたころ、販売会社と運用会社と信託銀行の役割の違いがなかなか飲み込めませんでした。FXにも似た仕組みがあります。今回はそれを、公表されている数字で自分で確かめる手順として並べます。
信託保全とは、どんな仕組み?
信託保全は、FX会社がお客様から預かったお金を信託銀行等へ金銭信託して、会社自身のお金と分けておく仕組みです。金融庁の「外国為替証拠金取引について」のページには、万が一業者が破綻した場合でも顧客の資産を保護するために、預かった資産を自己の資産と明確に区分して管理することが求められている、と書かれています。
投資信託で言えば、私たちのお金が運用会社ではなく受託銀行に置かれているのと近い考え方です。会社の経営が傾いても、信託された分は債権者に配られる財産に入りません。

もうひとつ押さえておきたいのは、守られる金額の決まり方です。協会の解説によると、信託しなければならない額(顧客区分管理必要額)は、お客様が振り込んだお金に、持っている建玉の評価損益とスワップポイントの損益を足した額です。口座に入れた金額そのものではなく、その日の評価で毎日動きます。
協会のExcelで見る4つの列
数字の置き場所は、一般社団法人金融先物取引業協会の「店頭FX月次速報」のページに載っています。2026年9月14日更新の版では、ページ下の「預託額情報(Deposit Amount Information)」というXLSファイル(83KB)がそれです。
開くと、DATAシートに2015年4月分からの月次の数字が新しい順に並んでいます。見出しは日本語と英語の2段です。見る列は次の4つだけで足ります。

| 列の見出し | 意味 | 2026年8月分 |
|---|---|---|
| ①当月顧客入金額 | 1か月にFX口座へ入ったお金の合計 | 264,885,433,584円 |
| ②当月顧客出金額 | 1か月にFX口座から出たお金の合計 | 263,339,509,817円 |
| ③当月末必要額 | 月末時点で信託しなければならない額 | 1,920,655,895,456円 |
| ④顧客区分管理信託額 | 月末時点で実際に信託されていた額 | 1,985,850,459,013円 |
| 信託保全率(④÷③×100) | 必要額に対して実際に預けた割合 | 103.39% |
桁が大きいので読み替えると、必要額が約1兆9,207億円、実際の信託額が約1兆9,859億円です。必要な額より約652億円多く預けられていた、という読み方になります。報告したのは46社で、同じページには2026年8月末の建玉合計12兆1,641億円という数字も並んでいます。
100%を下回るのは、どんな時?
信託保全率は100%を超えていれば安心、下回れば危ない、と単純には読めません。協会の解説には、会社は必要額を毎日計算し、信託額が足りない場合は2日以内に追加する、と書かれています。計算した日と追加する日がずれるので、きちんと管理していても月末の時点で100%を下回ることがある、という説明です。

実際の推移も見ておきます。DATAシートの2015年4月分から2026年8月分までを数えると、100%を下回ったのは2016年1月分の98.64%の1か月でした。直近の半年は次のとおりです。
| 月 | 信託保全率 |
|---|---|
| 2026年3月 | 104.20% |
| 2026年4月 | 103.44% |
| 2026年5月 | 103.87% |
| 2026年6月 | 103.97% |
| 2026年7月 | 105.41% |
| 2026年8月 | 103.39% |
出典:金融先物取引業協会「店頭FX月次速報」預託額情報(2026年9月14日更新)
業界全体の数字では分からないこと
ここが一番大事なところです。103.39%は、報告した46社を合計した値です。どこか1社が足りていなくても、他の会社の余裕に埋もれて合計では100%を超えることがあります。自分が取引する会社の状況は、この数字からは読めません。

個別の会社については、次の3か所で確かめます。
- 契約締結前交付書面:信託先の銀行名と、信託保全の方法が書かれています。
- 会社が公表しているリスク情報:金融庁のページでは、店頭FX業者がリスク情報をウェブサイトで公表していると案内されています。
- 業務及び財産の状況に関する説明書類:ウェブサイトか営業所に備え置かれている開示書類です。
もうひとつ、協会は同じExcelの「顧客区分管理必要額正味増減額」の列について、FX業者の損益額とは異なると注意書きをしています。数字の意味を取り違えないよう、見るのは信託保全率の列にとどめるのが無難です。
始める前に確かめたい3つのこと
- 守られる額の決まり方:信託されるのは入金額ではなく、評価損益とスワップを含めたその日の額だと理解しましたか。
- 業界全体の保全率:協会のExcelで、直近の月の信託保全率を自分で開いて見ましたか。
- 取引する会社の書面:契約締結前交付書面で信託先と方法を確かめましたか。
信託保全は、会社の破綻から証拠金を分けておく仕組みで、相場で出た損失を補ってくれるものではありません。守られるのはあくまで会社が倒れた場合の話で、取引の損失とは別に考えます。
よくある質問
この記事はFXの仕組みに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の取引や会社を推奨するものではありません。FXは為替相場の変動により損失が生じるおそれがあり、預けた証拠金を上回る損失が生じることもあります(元本が保証される商品ではありません)。信託保全は業者の破綻に備える仕組みで、取引による損失を補うものではありません。掲載した数値は2026年9月27日時点で金融先物取引業協会・金融庁の公式サイトに掲載されていた内容にもとづいており、統計は改定されることがあります。最新の情報は公式サイトで必ずご確認ください。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。本サイトはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を利用しています。